婚姻届の「父母の氏名」の書き方と記入例徹底解説!
- 夫婦の両親が婚姻中の場合の父母の氏名の書き方
- 夫婦の両親が離婚している場合の父母の氏名の書き方
- 両親が離婚し父または母の行方が分からない場合の父母の氏名の書き方
- 両親が結婚継続中で両親の一方または両方が死亡している場合の父母の氏名の書き方
- 両親が離婚後、両親の一方または両方が死亡している場合の父母の氏名の書き方
- 養父、養母がいるなど養子縁組している場合の父母の氏名の書き方
- 戸籍謄本に父の名前が記載されていない場合の父母の氏名の書き方
- 父や母が外国人の場合の父母の氏名の書き方
- 婚姻届に父母の氏名を書きたくない場合
- 婚姻届の父母の氏名は、本人が書かなくてはいけないの?
- 婚姻届の父母の氏名を間違えた場合の書き方と訂正
- 婚姻届の続き柄欄について
婚姻届には夫妻それぞれの両親の氏名を記入する欄があります。
この父母の氏名欄の書き方をパターン別に説明します。
夫婦の両親が婚姻中の場合の父母の氏名の書き方
基本は①の書き方が主流ですが、上記①~④のどの書き方でも受理されます。
③と④の書き方は珍しい書き方ですが、夫婦のどちらかの母のみ省略しても問題なく受理されるのです。
以前までは、両親が婚姻中の場合は、父のみフルネーム、母は名前だけを記入するとされていましたが、現在は、父と母ともにフルネームで記入してもよいことになりました。
※「母の苗字を記入しても差し支えない」とされたのは、平成29年10月2日の通達によります。
(婚姻中の場合、母は苗字省略で記載)
(父母フルネームで記載)
婚姻中でも上記の書き方(①、②)で、大丈夫という事です。
夫婦の両親が離婚している場合の父母の氏名の書き方
夫側の例では、母が離婚して旧姓に戻っているケースです。
父母が離婚している場合、必ず婚姻届を提出する時点の現在の父母のフルネームを書く必要があります。
妻側の例では、離婚後、母が結婚中の氏をそのまま名乗っているケースです。
その場合、婚姻中と違い、必ず母は苗字と名前を書くことになります。
妻側の例を見てみると、一見、離婚しているのか結婚しているのか分からないのですが、問題ありません。
すでに離婚されている両親の場合の注意点は、繰り返しになりますが、婚姻届を出す時点の両親の氏名を記入しなければならないことです。
なので、例えば母が結婚前の苗字(実家の苗字)に戻っているなら、戻った後の苗字を書くことになりますね。
また、別の人と再婚していて苗字が変わっているなら、再婚した後の苗字を記入する必要があります。
離婚後何度も、再婚を繰り返していれば、現時点である最終の苗字を記入することになりますよ。
※バツ2やバツ3の場合ですね。
このように、もし、両親が離婚しているなら、現時点の父母の苗字は、あなたが生まれた時点と変更されているかも知れませんので注意して下さい。
ところで、婚姻届と一緒に持っていく戸籍謄本には、あなたの父母のフルネームが載っていますが、戸籍謄本には、あなたが生まれた当時の父母の氏名しか載っていません。
戸籍謄本に記載されている父母の苗字のまま、素直に記入してしまうと、現在の父母の氏名でない可能性もあるので、あわせて注意して下さいね。
両親が離婚し父または母の行方が分からない場合の父母の氏名の書き方
両親が離婚して、シングルマザーなど母子家庭で育った人または父のみに育ててもらった人は、父または母の現在の氏名が分からないかも知れません。
その場合でも、父母欄は空欄にせず、しっかり記入する必要があります。
そのような状態の場合は、戸籍謄本どおりに記入しておくしかありません。
本来は、現在の父母の氏名を書いておく必要がありますが、行方が分からないのですから、このような場合は、戸籍謄本の父母欄の氏名をそのまま書いておきましょう。
その状態でも問題なく婚姻届は受理してもらえます。
現在の父母の氏名は、必要に応じて役所職員が調査して補正してくれます。
両親が結婚継続中で両親の一方または両方が死亡している場合の父母の氏名の書き方
婚姻届を出される人の中には、両親がすでに亡くなっている場合もあるかと思います。
その場合でも、死亡している父母の氏名も記入する必要があります。
例えば、父が死亡していても、氏名の前に「亡 織田信秀」とせず、通常どおり「織田信秀」と記入します。
父母が結婚中の状態で死亡しているなら、書き方は父母婚姻中の書き方と全く同じというわけです。
上記、いずれでも正しい書き方になるので参考にしてください。
両親が離婚後、両親の一方または両方が死亡している場合の父母の氏名の書き方
両親が離婚した後、父母のどちらか、または二人とも死亡している場合も、同じく空欄にせずに、父母の氏名を記入します。
記入する父母の氏名は、生存している親の場合、あなたが婚姻届を提出する時点の親の氏名です。
そして、亡くなられている親の氏名は、亡くなられた時点の親の氏名になります。
つまり、両親が生存していても亡くなられていても、離婚している場合と同じ書き方になるという事です。
上記の例は、ケースとしては少ないですが、夫側も妻側も両親の両方が死亡しているケースを挙げました。
夫側は、父母が離婚後、父が死亡、そして母が旧姓に戻ったあとに死亡しているケース。
妻側は、父母が離婚後、父が死亡、母は結婚中の苗字を引き継いだまま離婚した後、死亡ているので、父と苗字は変わりません。
妻側の母の氏名は離婚しているので、省略せずフルネームで書くことに注意してください。
つまり、父母欄は、生存していても、死亡していても書き方が変わるわけではないという事です。
養父、養母がいるなど養子縁組している場合の父母の氏名の書き方
養子縁組をしている人には、養父さん、または、養母さんがいらっしゃることでしょう。
そのような時、父母欄には、養父さん、あるいは、養母さんの氏名を記入される人がおられますが、 これは、誤りです。
なぜなら父母欄には、実父、実母の氏名を記入するところだからです。
養父や養母がいらっしゃる人は、その他欄に「妻の養父 山田 一郎 続柄 養女」や「夫の養母 山田 花子 続柄 養子」と記入します。
※続柄(続柄 養子、続柄 養女など)の記入は不要としている自治体もあります。
これは、「養父や養母が誰」で、「婚姻する人と養父母からみた関係(養子や養女)」を記すことで、 届書を見た時に明確にしておくためです。
ちなみに、養子縁組届を出していない場合は養親と養子の関係にはなりません。
つまり、単なる義父や義母の場合は、婚姻届の父母欄やその他欄に記入することはしません。
ここでは、父母欄は、実父、実母の氏名、その他欄に養父、養母の氏名を記入すると覚えておきましょう。
戸籍謄本に父の名前が記載されていない場合の父母の氏名の書き方
生まれた時から父親がいない、つまり、父があなたを認知していない場合は、戸籍の父欄は空欄 となっています。
その場合の婚姻届の、父欄の記入は空欄のままでよいとされています。
養父がいたとしても、養父の氏名を父欄に記入せず、「父欄は空欄」、養父の氏名は「その他欄」 に記入します。
父や母が外国人の場合の父母の氏名の書き方
最近は、国際結婚も増えてきました。
もちろん、婚姻届の外国人配偶者の父母欄には、外国人の氏名で記入することになります。
また、外国人から日本人に帰化した場合も、帰化した人の父母の氏名には、外国人氏名で書かなくてはいけないでしょう。
下記に、外国人の父母の氏名の書き方を載せておきますので参考にして下さい。
記入例は、「アルファベットの氏名の国」と「漢字圏(中国、韓国)の氏名の国」。
アルファベットの氏名の国は、必ずカタカナで記入します。
(×)Luis Frois
(〇)ルイス,フロイス
そして、氏と名の間に必ずカンマ( , )を入れるルールがあります。
婚姻届など戸籍届書は、日本の形式で記入しなければならないので、氏と名(苗字と名前)に分けなければならないのです。
カンマは( , )氏と名を明確にするために付けるものなので、忘れないようにしましょう。
氏と名に分けることが難しい場合、例えば3語からなる氏名の場合でも、氏と名に分けなければいけません。
そういった場合は、パスポートを見ると分かることがあります。
例えば、パスポートの名前欄に、Last name(ラストネーム)やSurname(サーネーム)と書かれている箇所が氏(苗字)にあたる部分になります。
そして、First name(ファーストネーム)やGiven name(ギブンネーム)と書かれている箇所が、名前に当たる部分なのです。
複雑なのがmiddle name(ミドルネーム)。
このmiddle name(ミドルネーム)が、氏(苗字)にあたるのか名前にあたるのかは、国によって異なるからです。
これは、外国人本人にしか分からないことなので、記入するときは本人に任せるしかありません。
外国人配偶者の、祖父や祖母の氏名を参考にして判断する方法もあります。
ちなみに、最近はブラジルのパスポートなど、名前欄にはミドルネームの表記がされなくなってきたので、判別しやすいようになってきました。
氏と名が判別しやすいようになってきているものの、それでも分からない場合は感覚で記入しておいても問題ないでしょう。
必要に応じて役所職員が、修正してくれますから不受理とされることはありません。
一方、漢字圏の国の父母の氏名は、漢字で記入するので、氏と名の判別が容易にできます。
なので、カンマ( , )は不要です。
婚姻届の記入のルールは、漢字圏の国の人でも、基本はカタカナで記入しますが、外国人の本国の漢字が、日本文字に置き換えできる場合は、日本文字に対応した漢字で記入しても良いということです。
なので、逆に、外国人の本国の漢字が、日本にない場合、必ずカタカナで記入する必要があるのです。
とはいえ、漢字圏の国の場合は、漢字で記入されることがほとんどです。
外国人の本国の漢字が、日本文字に置き換えできないケースは少ないので、漢字圏の場合は、基本、漢字で記入すると覚えておくと良いでしょう。
おまけとして、インドネシア人は、慣習上、氏(苗字)がなく、名前のみの国です。
その場合は、名のみカタカナで記入しておきます。
婚姻届に父母の氏名を書きたくない場合
「養父を実の父のように思ってきた」、「実父あるいは実母と絶縁状態」、「父が自分を認知しているようだが、父と認めたくない」「母が一人で育ててくれた苦労から、実父を思い出したくない」など、色々な理由から婚姻届の父母欄に、実父や実母の氏名を書きたくない人も、まれにおられます。
事情はお察ししますが、結論から言うと、そのような場合でも、父母の氏名欄の記入は必要です。
でも、「どうしても嫌だ」という場合は、空欄で婚姻届を提出する他ないでしょう。
ただ、このままでは婚姻届は受理できないので、届書を受け付けた後、戸籍謄本や他市への照会で情報を得て、実父母の氏名をあなたの代わりに、市職員が記入してくれるケースもあります。
ただし、これは市職員の届出人を気遣った配慮でしてもらえることなので、自治体によって対応が異なることがあります。
婚姻届のルールとしては、「書きたくない」といった理由だけでは、空欄で提出することはできません。
どうしても、という場合は役所職員に相談してみましょう。
父母欄を書いていないというだけで、不受理となることはありませんが、スムーズな届出ではないという事を理解しておきましょう。
婚姻届の父母の氏名は、本人が書かなくてはいけないの?
婚姻届の父母の氏名欄について、「夫側の父母の氏名は夫」、「妻側の父母の氏名は妻」が記入することが一般的ではないでしょうか。
でも、実は婚姻届で、本人が記入しなければならない箇所は、「署名欄」と「証人欄」のみなんです。
署名欄については、夫の氏名は夫自身が記入しなければなりませんし、妻の氏名は妻自身が記入しなければなりません。
証人欄は、2人の証人が必要ですが、代筆してもらうことなく、証人自身がそれぞれ記入する必要があります。
それ以外は、夫が妻側の各項目欄を記入しても良いし、妻が夫側の記入箇所を代筆してもかまわないのです。
もし、何らかの事情で、署名欄と証人欄以外をすべて夫が書く場合、もしくは妻が書く場合でも、正確な情報が書かれていれば問題なく受理されるということです。
もっと言えば、夫や妻以外の誰かが記入してもOKです。
署名欄は夫妻がそれぞれ記入、証人欄は婚姻届の事項を真正なものと認める証人が、証人自身でそれぞれ記入していれば、その他の欄は誰が書いても問題ないのです。
ただ、せっかくの二人の記念となる婚姻届なので、夫婦となる2人がご自身で記入するに越したことはないというもの。
実際、出される婚姻届を見てみても、夫婦がそれぞれの箇所を記入しているケースがほとんどなので、特別な事情がない限り、夫婦で記入すると良いでしょう。
婚姻届の父母の氏名を間違えた場合の書き方と訂正
「父母の氏名の書き方を間違えた!」
そんな間違いの多くは、父母の氏(苗字)が現在と異なっている氏を書いてしまったケース、特に母の氏の誤りが多いです。
そして、もう一つは実父母の氏名を父母欄に記入しなければならないのに、養父母の氏名を書いてしまったケースです。
もし、父母の氏名を書き間違えた場合は、下記のように訂正します。
訂正印は押印すれば丁寧で良いですが、押印していないからと言って不受理とされることはありません。
父母欄がいっぱいで訂正するのに枠におさまらない場合や、せっかくの婚姻届がごちゃごちゃするのに抵抗があるという人は、その他欄で間違いを訂正することができます。
その他欄で書き間違いを訂正する方法は、役所職員がよく使うやり方です。
その他欄での訂正方法を知っていると、戸籍に詳しい人だと驚かれるかもしれませんよ。
ちなみに、その他欄で訂正した場合は、父母の氏名欄は書き間違えた状態で、放置しておいても大丈夫です。
婚姻届の続き柄欄について
父母の氏名欄の横には「続き柄」欄があります。
ここの記入は男性の場合は「長男」「二男」「三男」「四男」「五男」。
女性は「長女」「二女」「三女」「四女」「五男」というように記入します。
よくある誤りとして、「二男」「二女」の場合。
「二男」を「次男」としたり「二女」を「次女」と書き誤ってしまう人が多いです。
そして、あまり例は少ないですが、戸籍に「男」、「女」としか書かれていない場合は、続き柄欄は空欄にしておきます。
これは、父があなたを認知していない場合に、「男」や「女」という表記になるのです。
でも、現在は、父があなたを認知していない場合でも、戸籍には「長男」「二男」などと記載されるようになりました。
ルールの改正前の人については、「男」「女」というようなケースもあるというわけです。
※ルールの改正は、平成16年11月1日の通達により行われました。
ちなみに続き柄は、同じ父母の間に生まれた順番で「長男」「二男」「三男」あるいは「長女」「二女」「三女」と付けられます。
なので、同一の父母との間に生まれた子と、別の父、あるいは別の母との間に生まれた子がいる場合は、一緒の戸籍の中で長男が2人または長女が2人存在する場合があるかも知れません。
例えば、連れ子の女性と結婚した男性の間に初めて子供が生まれた場合、「その子は長男」になりますし、女性の連れ子がもともと前夫との間の長男なら、その女性には2人の長男が存在することになるのです。
少し、話が難しくなりましたが、いずれにせよ、自分の戸籍をみれば続き柄は書かれているので、戸籍をみながら続き柄を記入すれば簡単ですよね!
以上、父母の氏名欄の記入方法を説明してきましたが、この父母欄の記入誤りで、婚姻届が受理されないことはありませんので、安心して下さい。
ただ、せっかく大事な二人の婚姻届なので、正確な記入方法を知って、誤りがないようにしたいものですね。