婚姻届の受理証明はどのような事に使えるの?取得方法は?
婚姻届受理証明って、どのようなものかって知っていますか?
受理証明は、各種手続きで必要だったり、結婚の記念に残すために市役所でとる人も多いという証明。
ここでは、婚姻届受理証明について説明します。
婚姻届受理証明とは?
婚姻届受理証明とは、 「婚姻届を正式に受理した」という証明です。
婚姻したという証明は、通常、戸籍証明で対応できますが、婚姻届を出してすぐには、戸籍証明が発行できません。
市役所での戸籍の作成に1~2週間、時間を要するからです。
婚姻届を提出後、戸籍の作成を始めますが、それまでに、「ふたりが婚姻したという証明」が必要になったら戸籍証明の代わりに受理証明が取得されているというわけなのです。
※戸籍証明とは戸籍謄本、戸籍抄本など
受理証明の発行できる市役所は?
婚姻届の受理証明は、婚姻届を提出した市役所でのみ発行出来るものです。
文字どおり「受理しました」という証明なので、婚姻届を提出した市役所のみが発行できるものなんですね。
いくら住所地や本籍地のある市役所でも、そこで婚姻届を提出していないのなら、受理証明は発行できないので、注意しましょう。
受理証明は誰が申請できるの?
受理証明の申請できる人は、原則、届出人である夫か妻のどちらかです。
その他の代理人が申請する場合は、委任状が必要になります。
受理証明の発行に必要な持ち物は?
本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
※本人確認書類は、旧姓のものでも結婚後の苗字のものでもOK!
申請用紙は役所に設置しています。
※申請書に本籍と筆頭者、婚姻年月日を記入する必要があるので、それらの情報を把握の上、役所へ訪れてください。
受理証明の発行に期限はあるの?
受理証明の発行期限は、ありません。
例え、1年以上経過しても10年以上経過しても発行されます。
ただし、自治体によっても異なりますが、戸籍がコンピュータ文字化された以降に結婚した場合しか、発行できないところもあります。
特に結婚して年月を経た受理証明を申請するときは、婚姻届を提出した年月日をしっかり把握したうえで申請する必要があります。
でないと、役所側が検索することが出来ません。
受理証明の発行の有効期限はあるの?
役所側では特に有効期限は決められていません。
受理証明には発行年月日しか載っていないのです。
有効期限は、受理証明の提出先が指定することがほとんどです。
「2週間以内のものとか、1カ月以内に発行したものを持って来てください」とかですね。
逆から言えば、受理証明の提出先が、何年もたった受理証明でも受け付けてくれるのなら、期限は決められていないことになります。
受理証明ってどのような場合に必要になるの?
受理証明を必要とするかは、会社や店舗など提出するところによって様々です。
ここでは、必要とすることが多いケースを数例紹介します。
戸籍証明の代わりに取得する
日本国籍の人なら誰でも戸籍を持っています。
婚姻したら戸籍に誰と婚姻したのかが載るので、「結婚している証明」として一般的に戸籍証明が利用されます。
ただ、婚姻届を本籍地に出してから、戸籍がすぐに作成されるわけではありません。
戸籍証明が取得出来るまでに、土日祝を除く5日~7日の日数を要します。
これは、新しい戸籍を作る市区町村役場に婚姻届を提出した場合の日数なので、それ以外の市区町村役場に婚姻届を出した場合は、さらに日数を要します。
そのような時に、結婚した証明が必要になってしまったら、戸籍証明の出来上がりを待つことになり困る人もいるでしょう。
結婚した証明が必要だけど、戸籍証明が出る状態ではない。
そこで、戸籍謄本や戸籍抄本などの戸籍証明の代わりに受理証明が利用されているというわけなんです。
戸籍証明を遠方の本籍地市役所で取ることが面倒な場合
戸籍証明は、原則、本籍地の市区町村役場でしか発行できません。
婚姻後の戸籍証明を取りたい場合も、新しく本籍地を置いた市区町村役場でのみの発行となるのです。
新本籍地が住所地と同じ市区町村なら、戸籍証明が発行できる市役所は、自宅と近いので手間はそれほどかかりません。
でも、住所地から遠いところに新本籍地を置いてしまった場合は、郵送で戸籍証明を取り寄せることになってしまいます。
もし、市区町村役場で婚姻届をだして、その後すぐに結婚した証明が必要になった場合は、戸籍証明作成まで数日間待たなければいけない上に、本籍地の市区町村役場と郵送でのやりとりで、手間がかかり、とても面倒になるんです。
数日間待つのは我慢できても、その後、遠方の新本籍地の市区町村役場に戸籍証明の郵送請求が、おっくうという人は、多いハズ。
そのような時、役に立つのが受理証明なのです。
受理証明は、婚姻届を出したその日に発行できるものです。
「婚姻届を受理した公的な証明」つまり「結婚した証明になりうる証明書類」になるので、戸籍証明の代わりに利用されることが多いのです。
婚姻届を審査して受理してから、受理証明を作成するので、婚姻届が受理されてから20分程度の発行時間を要しますが、早急に結婚した証明が必要な場合は、取得してみても良いかも知れませんね。
※市区町村によっては、受理証明書を当日発行してくれないところもあります。
わざわざ、遠方の新本籍地へ戸籍を取り寄せず、結婚した証明が欲しい人にはオススメです。
住所地以外で婚姻届を出したが、すぐに結婚後の住民票が欲しい場合
平日時間内に住所地の役場で婚姻届を出せば、婚姻届の受付後、すぐに結婚が反映された住民票を発行してもらえます。
でも、夫婦の住所地以外の役場で住民票を出してしまうと、すぐに結婚後の住民票は発行できません。
というのも、住民票が発行できるのは原則、住所地の役場になりますし、住民票を結婚後のものに変更できる権限を持つ役場も住所地の役場だからです。
住所地以外の役場で受け付けられた婚姻届の場合、住民票を住所地の役場で変更してもらうためには、少々時間を要します。
まず、受け付けた役場が婚姻届の処理を終えるのに約5日間、その後、住所地の役場へ住所通知(通称:9条2項通知)が送られます。
そして、住所地の役場に通知到着後、処理されるのに1日~2日間を経た後、ようやく結婚後の住民票が発行できるようになるからです。
そういうわけで、結婚後の住民票が住所地の役場で発行できるようになるまでに、数日間かかるのですが、出来るだけ早期に住民票が欲しいという人もおられますよね。
そのような時に、受理証明は役に立つのです。
つまり、婚姻届出をした役場で、即日、受理証明を発行してもらい、その受理証明を住所地の役場へ直接持っていくと、すぐに結婚後の新しい住民票を発行してもらえるようになります。
受理証明には、結婚した情報が載っているので、住所地の役場は受理証明に書かれた情報を元に住民票を作成するのですね。
このように受理証明は、住所通知の代わりになるというわけです。
受理証明の発行には350円程度かかりますが、住所地以外の役場に婚姻届を出してしまったけれど、出来るだけ早く、結婚後の住民票が欲しいという人は、上記の方法をお試しください。
婚姻してすぐに他市町村へ転出する場合
婚姻届を受け付けた市区町村役場では、私たち届出人が婚姻届を出した事実を把握していますが、他の市区町村役場では、一切、知るよしもありません。
婚姻届を受け付けた市区町村役場は、届出人の本籍地と住所地の市区町村役場に「二人が婚姻したという通知」を送付しますが、それによって初めて届出人が婚姻した事実を関係市区町村役場が知ることになっています。
関係市区町村役場への通知は、婚姻届を受け付けた市区町村役場から大抵、土日祝を除く3日~5日後にされることが通常です。
そこで、その通知前に、他市町村に転出するケースを考えてみましょう。
転出する時は、転出証明書が渡されますが、住所地は婚姻した事実を知らないので、転出届を申請すると「婚姻前の古い情報」の転出証明書が発行されます。
新住所地の市区町村は、転出証明書の情報にしたがって住民票を作成しますが、婚姻前のままの情報を参考にされると困りますよね。
通知が届いていないので、新しく転入する市区町村の役場は、婚姻した事実を全く知らないわけです。
なので、あらかじめ婚姻届を出した市区町村で受理証明書を発行してもらい、新住所地へ転出証明書と共に持っていく必要があるのです。
それによって、新しく転入する市区町村役場は、二人が婚姻関係にあるのかどうかを受理証明で判断し、住民票に反映させることが出来るのです。
受理証明書によって、結婚の事実が判明すれば、旧氏から新氏の変更も可能となりますし、住民票にも「夫」や「妻」と登録表示してもらうことができるというわけなのです。
受理証明を持っていかなくても、引っ越し先の市区町村役場が、婚姻届を受け付けた市区町村役場へ電話照会することで、婚姻関係を確認してくれる場合もありますが、無難に受理証明書を持参したほうが、スムーズですよ。
婚姻届を二人の住所地の市区町村役場に提出した場合は、転出時に新しい情報が載った転出証明書が渡されるので、転入する市区町村役場での混乱を防げることが多いですが、住所地以外に婚姻届を出した場合の転出は注意しましょう。
婚姻届を出してすぐに転出も考えている場合は、必ず、転出時に受け取る転出証明書をチェックしましょう。
もし、転出証明書に婚姻前の古い情報が載っていれば、まだ住所地の市区町村へ婚姻した通知がされていない証拠。
そのような時は、婚姻届を出した役所で、即日、受理証明をもらっておきましょう。
なお、上記のような、婚姻届を出してから転出届をするケースは、実は例外。
婚姻届を出す時に、転出の予定が分かっているなら、引っ越し先の市区町村役場へ転入届と婚姻届を同時に出してしまう方法が一般的です。
結婚した記念に受理証明書を発行する人もいる!
受理証明書は、主に手続きで使うものという印象が強いですが、結婚した記念に受理証明書を取得されるカップルもおられます。
また、受理証明書は、「通常の受理証明書」と「記念用の受理証明書」の二種類あることをご存知ですか?
通常の受理証明書は、住民票などの証明用紙と同じ紙質の改ざん防止用紙を使用している市区町村役場が多いです。
発行手数料も350円程度となっています。
※市区町村役場によって発行手数料の違いあり。
一方、記念用の受理証明は、厚紙の「表彰状用紙」を使って発行されます。
(大阪府摂津市の受理証明例)
市区町村役場によって発行方法や仕様にはバラつきがありますが、プリンターの印字ではなく筆ペンで直筆されているところもあります。
また、書かれる内容も結婚した二人の名前はもちろん、証人二人の名前も載せているという、通常の受理証明書以上の内容が書かれているのです。
※市区町村役場によって違いあり。
発行には、プリンターでの印字対応の場合、即日発行してくれる自治体もありますが、筆ペンの直筆仕様の場合は、数日間かかる場合も多く、手数料も1,400円程度と高め。
※市区町村役場によって発行手数料の違いあり。
もし、興味があれば、記念用の受理証明書を発行してみるのも良いかもしれませんね。
婚姻届の受理証明書が即日発行できる役所、出来ない役所のワケ
自治体によって、受理証明書が即日発行されるケースとされないケースがあります。
これは、自治体の体制に大きく影響されています。
役所の基本体制は、「窓口での戸籍受付係」と「届書の内容を戸籍を記載する係」に分かれています。
戸籍届書実務の流れは、窓口係が婚姻届を審査後、受理したあと、一日分の婚姻届書を、その日の執務時間終了後あるいは翌日に、戸籍記載係へまとめて渡しています。
戸籍記載係は、再度、窓口係で受理した婚姻届を審査チェックし、そこで誤りがあれば窓口係へ婚姻届を差し戻し必要があれば、届出人へ連絡を取って補正や修正をお願いします。
そのような体制の中、もし、窓口係で審査受理し、即日、受理証明書を発行した後で、婚姻届に誤りが発見され、戸籍記載係から婚姻届が差し戻された場合はどのようになるでしょう。
婚姻届の内容が誤っていれば受理証明も誤っている可能性がありますよね。
これを、避けるため、戸籍記載係で二重チェックを経た後、婚姻届に誤りが無いことを確実にした後で、後日、受理証明を発行したほうが役所側も安心ですよね。
というわけで、即日、受理証明を発行可能な役所は、窓口係のみでしっかりチェックし、婚姻届に誤りが無いことを、ある程度担保できる体制が整った役所と言えるでしょう。
逆に、即日発行できない役所は、確実に戸籍記載のできる誤りのない状態になってから、受理証明を発行可能とする慎重な役所と言えます。
ただ、即日、受理証明を発行できる役所も、外国人と日本人の婚姻届など、外国籍の人がからんだ婚姻届、また日本人同士でも複雑な婚姻届だけは、戸籍記載係を通して婚姻届に誤りが無いことを確実なものにしたうえで、後日発行されているところも多いようです。